キャリアデザインとは?意味と3要素・年代別の具体例まで解説
この記事のポイント
キャリアデザインとは、仕事も私生活も含めて自分の生き方を主体的に描くことです。人生100年時代を背景に重視され、やりたいこと・できること・求められることのWill Can Mustの3要素を軸に、自己理解から目標設定、見直しまでの5ステップで設計します。年代別の具体例もあわせて理解できます。
「キャリアデザインという言葉はよく聞くけれど、何から考えればいいのか分からない」「自分の生き方を主体的に設計したいのに、やりたいことがうまく言葉にできない」と感じていませんか。
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
- キャリアデザインの意味と関連語との違い
- 重視される背景と3つの構成要素
- 設計の5ステップと年代別の具体例
キャリアデザインとは、仕事も私生活も含めて自分の生き方を主体的に描くことで、3つの要素と手順を押さえれば自分でも設計できます。
先の見えない時代でも、自分の軸を持てれば納得して一歩を踏み出せます。具体例や意味ないと感じたときの捉え方まで、ぜひ最後までご覧ください。
キャリアデザインとは?意味をわかりやすく解説
キャリアデザインとは、仕事だけでなく人生全体を見渡しながら、自分のなりたい姿や理想の生き方を主体的に描き、行動へ落とし込んでいく営みのことです。会社や学校から与えられる進路設計ではなく、先の見えない時代に自分の手で生き方ごと選び取る考え方として広がっています。
ここでは、キャリアアップとは何かという全体像と、基本的な定義、混同されやすい言葉との違い、そして今この力が求められる理由を順に整理します。
キャリアデザインの基本的な定義
キャリアデザインとは、職業生活と私生活を含めた人生全体を主体的に設計し、理想とする姿の実現に向けて行動していくことです。なぜ「仕事」だけでなく「人生全体」と言えるのか、その根拠は言葉の成り立ちにあります。
厚生労働省はキャリアを「過去から将来の長期にわたる職務経験やこれに伴う計画的な能力開発の連鎖」と定義しています(出典:厚生労働省)。さらに広い意味では、学習や人間関係、生活全般を含む人生の流れそのものを指す言葉として用いられます。
制度面でも個人が主体となる流れが明確になりました。2016年4月に施行された改正職業能力開発促進法では、労働者が自ら職業生活設計を行い、それに即して自発的に職業能力開発へ努める立場にあることが規定されています(出典:厚生労働省)。
- 対象となる範囲:仕事に限らず、家庭や学び、健康、価値観まで含む人生全体
- 主体:会社や学校ではなく、自分自身
- 目的:理想の生き方を言語化し、納得して選び取ること
コーチングの現場では、キャリアデザインを「正解を当てる作業」ではなく「自分にとっての納得を見つける問いかけ」として扱います。やりたいことがすぐ言葉にならなくても、自分と向き合う起点を持つこと自体に価値があるという捉え方です。
キャリアプランやキャリアパスとの違い
キャリアデザインは似た言葉と混同されやすいものの、扱う範囲と主語が異なります。違いを押さえると、自分が今どの段階を考えているのかが整理しやすくなります。
| 用語 | 意味 | 主語・範囲 |
|---|---|---|
| キャリアデザイン | 人生全体の理想像を描く構想 | 自分/仕事と私生活を含む人生全体 |
| キャリアプラン | 職業に関する具体的な目標と行動計画 | 自分/主に職業領域 |
| キャリアパス | ある職位や職務に就くまでの道筋 | 企業/組織内の昇進経路 |
| キャリア形成 | 描いた姿を実現するための実践プロセス | 自分/経験やスキルの積み重ね |
キャリアデザインが人生全体の構想だとすれば、キャリアプランはそのうち職業面を具体化した計画にあたります(出典:マネーフォワード クラウド)。キャリアパスは企業が示す社内の昇進ルートであり、主語が個人ではなく組織側にある点が大きく異なります(出典:リクルートマネジメントソリューションズ)。これらの違いを整理し、道筋を明確にしたい場合は、おすすめのキャリア相談先で相談するのも有効です。
キャリア形成は描いた理想を実際の経験で実現していく実践の段階を指します。「デザインで描く、形成で動く」という関係で捉えると、両者の役割分担が見えてきます。
なぜ今キャリアデザインが必要なのか
今キャリアデザインが必要とされる最大の理由は、組織任せのキャリアが成り立ちにくくなったからです。働き方を取り巻く前提が変わり、一人ひとりが自分の進路に責任を持つ時代になりました。
背景には複数の変化が重なっています。
- 終身雇用や年功序列という従来の雇用慣行が機能しにくくなった
- 人生100年時代といわれ、働く期間そのものが長期化した
- 組織主導の人材開発が限界を迎え、キャリア自律が求められるようになった
バブル崩壊やリーマンショック以降の経済環境の変化が企業の組織変革を促し、企業主導のキャリア形成は限界に近づいています(出典:マイナビキャリアリサーチLab)。先を見通しにくい状況では、自分のキャリアに自分が責任を持つキャリア自律の発想が欠かせません。
長く働く時代だからこそ、一度きりの就職で生き方を固定するのではなく、節目ごとに描き直せる構想を持っておく意味は大きいといえます。やりたいことがまだ言葉にできない人も、まずは自分の価値観を問い直すところからキャリアデザインを始められます。
キャリアデザインが重視される背景
キャリアデザインが重視される背景には、雇用や寿命をめぐる前提が大きく変わったことがあります。ここでは終身雇用の変化、人生100年時代の到来、キャリア自律という3つの観点から、必要に応じてキャリアアップ転職を成功させる方法も視野に入れつつ、なぜキャリアデザインが今これほど求められるのかを整理します。
終身雇用と働き方が変化している
キャリアデザインが必要とされる第一の理由は、終身雇用を前提とした働き方が成り立ちにくくなったことにあります。新卒で入社した一社に定年まで勤め上げる前提が薄れ、一人ひとりが自分でキャリアを選び取る必要が生まれました。
その変化はデータにも表れています。同じ企業に長く勤め続ける生え抜き正社員の割合は長期的に低下傾向にあり、大学卒の生え抜き比率は1995年の6割超から2016年には5割前後まで下がりました(出典:厚生労働省「労働経済の分析」)。
高度成長を支えた日本型雇用は、グローバル化やIT化、少子高齢化による構造変化を背景に揺らいでいます。一社に勤め続ける前提そのものが、当たり前ではなくなりました。
働き方そのものも多様になりました。一つの会社に依存しない選択肢が現実的になっています。
- 副業や兼業を認める企業の増加
- リモートワークや時短勤務など柔軟な勤務形態
- 転職や独立、フリーランスという進路の一般化
こうした流れの中では、会社に委ねるのではなく、自分の軸でキャリアデザインを描く姿勢が欠かせません。働き方が変わったからこそ、主体的な設計が求められています。
人生100年時代が到来している
第二の背景は、寿命が延びて職業人生が長くなる人生100年時代の到来です。長く働く時代には、一つの仕事観だけで人生全体を乗り切ることが難しくなりました。
日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性87.13歳に達し、100歳以上の高齢者は2024年に9万5千人を超えて54年連続で増加しています(出典:厚生労働省「令和6年簡易生命表」、総務省統計局)。「人生100年時代」という言葉は、リンダ・グラットン氏らの著書『LIFE SHIFT』で広く知られるようになりました。
教育・仕事・引退という3つの段階を一直線にたどる人生モデルは、長寿化によって見直しを迫られています。長く生きる分だけ、設計し直す機会も増えました。
職業人生が60年近くに及べば、学び直しや働き方の転換を複数回経験するのが自然です。下記のように、従来モデルと長寿時代のモデルでは前提が大きく異なります。
| 観点 | 従来の人生モデル | 人生100年時代のモデル |
|---|---|---|
| 人生の段階 | 教育・仕事・引退の3段階 | 学びと仕事を生涯くり返す |
| 働く期間 | 40年程度 | 50〜60年に長期化 |
| キャリアの形 | 一社で完結 | 転換と再設計を前提 |
長い人生を納得して生きるには、私生活も含めた生き方全体を見通すキャリアデザインが土台になります。具体的なキャリアロードマップの作り方を参考にしながら、寿命が延びた分だけ、自分で描く範囲を広げていくことができます。
個人のキャリア自律が求められている
第三の背景は、組織任せにせず自らキャリアを切り開くキャリア自律が求められていることです。技術や産業の変化が速く、会社が用意したスキルだけでは通用しにくくなりました。
政府もこの流れを後押ししています。2022年には、今後5年間で個人のリスキリング支援に総額1兆円を投じる方針が示されました(出典:政府「新しい資本主義」関連方針)。
リスキリングとは、新たな職務に必要な知識やスキルを学び直す取り組みを指します。学び直しの環境が整うほど、何をどう学ぶかを自分で決めるキャリア自律の重要性が増しています。
キャリア自律を進める際は、次のような視点が役立ちます。
- 自分のやりたいことと強みを言語化する
- 市場で求められるスキルを見極める
- 学びと経験を計画的に積み重ねる
主体的にキャリアデザインへ取り組む人ほど、変化を脅威ではなく選択肢として捉えられます。先の見えない時代だからこそ、自分の手で生き方を設計する力が問われています。
キャリアデザインを構成する3つの要素
キャリアデザインを進めるうえで土台になるのが「Will・Can・Must」という3つの要素です。これはリクルートが社員の主体的なキャリア開発のために広めたフレームワークで、キャリアセミナーの選び方などを通じて学び、現在は多くの企業の人材育成や1on1で使われています(出典:ミイダス人材アセスメントラボ)。
やりたいこと、できること、求められることの3つを書き出して整理することで、漠然としていた自分のキャリアを言語化できます。重要なのは1つずつ眺めることではなく、3つの重なりに注目する点です。
3要素とその重なりが生む領域を整理すると、次のようになります。
| 領域 | 意味する状態 |
|---|---|
| Will × Can | 強みを活かしてやりたいことに挑める |
| Will × Must | 周囲の期待と意欲が一致し動機が高まる |
| Can × Must | 求められる役割で成果を出しやすい |
| Will × Can × Must | 存在意義を感じられる理想の状態 |
3つすべてが重なる中心が、満足度と成果を両立できる目指したい姿になります(出典:Career Anchor)。最初から完璧に重ねる必要はなく、ズレを把握すること自体が次の一歩のヒントです。
やりたいこと(Will)
Willは自分が将来やってみたいこと、ワクワクや熱意を感じることを指します。3要素の中で最も内発的な動機にひもづくため、キャリアデザインの方向性を決める起点になります。
たとえば「人の成長を支援したい」「ものづくりで社会に貢献したい」のように、職種名ではなく価値観や状態で書き出すと深掘りしやすくなります。Willを言語化できないと悩む人も少なくありません。
その場合は過去に時間を忘れて没頭した経験や、逆に強い不満を感じた場面を振り返ると、裏返しの価値観として見えてきます。問いを「やりたいことは何か」から「どんな状態だと満たされるか」へ変えるだけでも、答えが出やすくなる場合があります。
できること(Can)
Canは現時点で自分が持っている強みやスキル、これまでの経験で培った能力を指します。Willが未来の願望だとすれば、Canは足元の現実を映す要素です。
資格や専門知識だけでなく、調整力や粘り強さといった目に見えにくい持ち味も含めて棚卸しすると、活かせる土台が広がります。Canを把握するときは、自分一人の評価だけでなく周囲からの見え方も取り入れると精度が上がります。
同僚や上司に「頼みたくなる場面」を聞くと、自分では当たり前すぎて気づかない強みが浮かび上がります。WillとCanが重なる部分は、将来的な年収を上げる方法を視野に入れた、無理なく挑戦できる現実的な選択肢につながります。
求められること(Must)
Mustは仕事の目標や役割、周囲から期待されていることを指します。会社や顧客、家族など、自分の外側から求められる要素であり、キャリアデザインを独りよがりにしないための視点です。
所属する組織の目標や、担っているポジションで期待される成果を具体的に書き出すと、Mustの輪郭がはっきりします。MustをWillやCanと切り離して義務だけで捉えると、やらされ感が生まれます。
一方でWillと重なるMustを意識できると、同じ業務でも動機が高まり納得感が変わってきます。特に30代のキャリアの考え方などに応じた期待を踏まえ、3つの円のズレを点検しながら、重なりを少しずつ広げていく作業こそがキャリアデザインの核心です。
キャリアデザインの設計方法5ステップ
キャリアデザインは、自己理解から行動計画までを順序立てて進めると無理なく形にできます。20代のキャリアの考え方を整理したい人や、やりたいことが言語化できない人ほど、いきなり目標を決めず、過去の経験を振り返る作業から始めると言葉が見つかりやすくなるものです。
ここでは設計を5つのステップに分け、各ステップの具体的なやり方を示します。
| ステップ | やること | 主な問い |
|---|---|---|
| 1.経験の振り返り | これまでの仕事・経験を棚卸し | 何をしてきたか |
| 2.理想像の描写 | なりたい姿を言葉にする | どうなりたいか |
| 3.ギャップ分析 | 理想と現状の差を可視化 | 何が足りないか |
| 4.目標と計画 | 差を埋める行動を設計 | いつ何をするか |
| 5.実行と見直し | 行動しながら定期的に調整 | ずれていないか |
これまでの経験を振り返る
最初のステップは、これまでの経験を棚卸しして自己理解を深めることです。理想を描く前に過去を整理する理由は、やりたいことや強みが過去の具体的な経験のなかに埋もれているからです。
社会人になってからの経験を振り返り、職務内容や実績を洗い出す作業をキャリアの棚卸しと呼びます(出典:マイナビ転職、doda)。
やり方としては、時系列で経験を箇条書きにし、それぞれに具体的な内容を枝分かれで書き足していくと整理しやすくなります。次の観点で書き出してみてください。
- 担当した業務と役割、達成した成果や数値
- 身につけた知識・スキル・資格
- 繰り返し発揮できた強みと、苦手だったこと
- 失敗や課題を乗り越えた経験と、そこから学んだこと
書き出した内容を眺めると、自分が自然と力を発揮できた場面や、価値観が見えてきます。第三者やコーチに見てもらうと、自分では当たり前すぎて気づかない強みを指摘してもらえることも多いものです。
なりたい理想の姿を描く
次のステップは、なりたい理想の姿を描くことです。理想を先に言葉にしておくと、その後の計画が逆算で組み立てられます。
キャリアデザインでは仕事だけでなく、私生活や生き方全体を含めて理想を描くと、人生100年時代に合った設計になります。
理想像は、5年後・10年後といった時間軸で、できるだけ具体的に思い描くのがコツです。やりたいことが浮かばない場合は、次のような問いを自分に投げかけてみてください。
- どんな働き方をしている自分なら満足できるか
- 誰のために、どんな価値を届けていたいか
- 仕事と私生活のバランスをどう保ちたいか
- 逆に「絶対に避けたい状態」は何か
避けたい状態から考えると、理想が言語化しやすくなる人もいます。最初から完璧な答えを出す必要はなく、仮の理想として置いておく姿勢で十分です。
理想と現状のギャップを分析する
3つ目のステップは、理想と現状のギャップを分析することです。理想(To-Be)と現状(As-Is)を並べて差を可視化する手法をギャップ分析と呼びます(出典:クロス・マーケティング)。
差がはっきりすると、これから何に取り組むべきかが具体的に見えてきます。
進め方は、理想の姿と今の自分を同じ項目で書き出し、その間にある差を埋めるべき課題として整理します。たとえば次のように対比させると分かりやすくなります。
| 項目 | 現状 | 理想 | 埋めるべき差 |
|---|---|---|---|
| スキル | 実務経験のみ | 専門資格を保有 | 資格取得の学習 |
| 役割 | メンバー | チームを率いる | マネジメント経験 |
| 働き方 | 残業が多い | 裁量を持って働く | 業務の見直し |
差をすべて一度に埋めようとすると負担が大きくなります。優先順位をつけ、理想への影響が大きい課題から着手すると効率的です。
具体的な目標と計画を立てる
4つ目のステップは、ギャップを埋めるための具体的な目標と計画を立てることです。あいまいな目標は行動につながりにくいため、SMART原則を使って具体化します。
SMART原則とは、具体的・測定可能・達成可能・関連性・期限という5つの観点で目標を整える考え方です(出典:クロス・マーケティング)。
たとえば「英語を勉強する」ではなく「半年後までにTOEICで700点を取る」とすると、進捗が測りやすくなります。立てた目標は、次のように期間で区切って計画へ落とし込みます。
- 長期(3〜5年) 到達したい理想像とマイルストーン
- 中期(1年) その年に達成する具体的な目標
- 短期(今月・今週) 今すぐ着手できる行動
短期の行動まで分解しておくと、最初の一歩が踏み出しやすくなります。計画は手帳やアプリに書き出し、いつでも見返せる状態にしておくと継続しやすいものです。
実行して定期的に見直す
最後のステップは、計画を実行し、定期的に見直すことです。キャリアデザインは一度作って終わりではなく、状況や目標が変わるたびに更新していくものだからです。
自分を取り巻く環境やライフステージが変われば、理想や優先順位も自然と変わっていきます。
見直しの目安として、少なくとも1年に一度は経験の差分を棚卸しし、職務経歴書をアップデートする方法が有効です(出典:リクルートエージェント)。あわせて次の点を点検してみてください。
- 当初の理想は今も自分の本心に合っているか
- 計画どおり行動できているか、できていない原因は何か
- 環境の変化に応じて目標を修正する必要はないか
計画とのずれは失敗ではなく、軌道修正のサインと捉えると前に進みやすくなります。一人で続けるのが難しいときは、コーチや信頼できる人に定期的に進捗を共有し、客観的なフィードバックをもらう仕組みを作るのがおすすめです。
キャリアデザインを考えるときのポイント
キャリアデザインは手順どおりに進めれば完成するものではなく、考え方の前提を整えることで質が大きく変わります。視野を広げ、変化に合わせて調整し、他者の視点を借りる姿勢が、納得できる選択につながるからです。
ここでは「意味ない」と感じてしまう壁の越え方まで含めて、設計を続けるための4つのポイントを整理します。
さまざまなキャリアの形を知る
最初のポイントは、選択肢として持っているキャリアの形を意図的に増やすことです。知っている働き方の幅が狭いままだと、無意識のうちに目標が一本道になり、本当は合っている道を見落としてしまいます。
かつての日本では一つの会社で昇進を目指す管理職型が標準でしたが、現在は専門性を深めるスペシャリスト型、本業と並行して別の活動を持つパラレルキャリア、フリーランスや副業など働き方は多様化しています。パラレルキャリアは経営学者ピーター・ドラッカーが著書『明日を支配するもの』で提唱した概念で、収入を主目的とする副業とは異なり、スキルや人脈の獲得を目的とする点が特徴です(出典:doda「パラレルキャリアとは?」)。
代表的なキャリアの形を並べると、自分の志向がどこに近いかが見えてきます。
| キャリアの形 | 特徴 | 向いている志向 |
|---|---|---|
| 管理職型 | 組織をまとめ成果を最大化する | 人や事業を動かしたい |
| 専門職型 | 特定分野の専門性を深める | 技術や知識を磨きたい |
| パラレルキャリア | 本業と別の活動を並行する | 経験や視野を広げたい |
| 独立・フリーランス | 自分の裁量で仕事を選ぶ | 自由度と責任を持ちたい |
形を知ることは、そのまま選ぶことではありません。複数の選択肢を前提に置いたうえで比べることで、自分の優先順位が浮かび上がってきます。
一度で完成させず柔軟に調整する
キャリアデザインは一度作って終わりにせず、状況の変化に合わせて何度でも見直すものです。完璧な計画を最初に求めるほど、想定外の出来事で計画が崩れたときに行き詰まりやすくなります。
ここで役立つのが、スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提唱した計画的偶発性理論(プランドハプンスタンス)です。個人のキャリアの約8割は予期しない偶然の出来事で形作られ、その偶然を主体的に活かすことでキャリアは良い方向へ進むという考え方で、好奇心・持続性・柔軟性・楽観性・冒険心の5つの行動特性が偶然を機会に変えるとされています(出典:識学総研「プランド・ハプンスタンス」)。
調整を前提にすると、見直しは失敗ではなく軌道修正の作業に変わります。
- 半年から1年ごとに目標と現状のズレを点検する
- 環境や価値観が変わったタイミングで計画を更新する
- うまくいかなかった経験を次の選択の材料として残す
設計図を固定するのではなく、変化に応じて描き直す前提を持つこと自体が、これからの時代のキャリアデザインの土台になります。
周囲からフィードバックをもらう
自分一人で考え続けると、視点が偏り、思い込みに気づけなくなります。信頼できる他者からのフィードバックは、自分では見えない強みや選択肢を映し出してくれる鏡の役割を果たします。
上司や同僚は仕事ぶりを近くで見ているため、自覚していない得意分野を言葉にしてくれることがあります。社外のメンターやキャリアコーチは、利害から離れた立場で問いを投げかけ、本人が当たり前と思っていた前提を揺さぶってくれる存在です。
フィードバックは一度きりで終わらせず、定期的な振り返りの場で受け取るほど精度が高まります(出典:kaonavi「キャリアデザインとは?」)。
大切なのは、もらった意見をそのまま正解として受け取るのではなく、自分の価値観と照らし合わせて取捨選択することです。複数の視点を集めたうえで自分で判断する姿勢が、納得感のあるキャリアデザインを支えます。
意味ないと感じたときの捉え方
キャリアデザインを意味ないと感じてしまう背景には、それなりの理由があります。先の読めない時代に立てた計画ほど、現実とのズレが大きく見え、努力が無駄に思えてしまうからです。
実際、配属や異動の決定権が本人になく、計画どおりに動けない職場では研修が形骸化しやすいと指摘されています。VUCAと呼ばれる変化の激しい時代では、立てた計画が技術や環境の変化であっさり覆ることも珍しくありません(出典:One人事「キャリアデザインとは?」)。
計画の中身を結果として固定的に捉えるほど、達成できなかったときに意味を見失いやすくなります。
ここでコーチングの視点が効いてきます。キャリアデザインの価値は計画を当てることではなく、自分の価値観や判断の軸を明確にする過程そのものにあるからです。
- 計画は予言ではなく、選択に迷ったときの判断基準として使う
- 計画どおりに進まないことを失敗ではなく情報として扱う
- 偶然の機会が来たとき、軸があるからこそ素早く選び取れる
軸が定まっていれば、予想外の出来事が起きても「自分はどちらを大事にするか」を即座に判断できます。意味ないと感じる瞬間こそ、固定した計画を手放して、何度でも描き直せる地図へと捉え直すタイミングだと考えてみてください。
年代やライフステージ別のキャリアデザインの具体例
キャリアデザインとは何かを抽象的に理解しても、自分の年代に引き寄せて考えないと行動には移しにくいものです。20代から40代以降まで、置かれた状況や優先すべきテーマは年代ごとに大きく変わります。
ここではキャリアデザインとはどう描くのかを年代別の例で示し、結婚や育児、介護といったライフイベントを織り込む設計の具体例も紹介します。自分に近い人物像を手がかりに、考え方から行動までをイメージしてみてください。
年代によって重心が動く様子を一覧にすると、次のように整理できます。
| 年代 | 主なテーマ | 描き方の重心 |
|---|---|---|
| 20代 | 経験を広げ土台をつくる | 可能性の探索と自己決定 |
| 30代 | 専門性を確立し責任を担う | 強みの言語化と選択 |
| 40代以降 | 蓄積を活かし次の30年を描く | 学び直しと第二の成長 |
20代のキャリアデザインの具体例
20代は基礎スキルを習得し、自分の可能性を広げる探索の時期にあたります(出典:アルー株式会社「キャリアデザイン研修」解説)。まだ得意も苦手も固まっていないからこそ、選択肢を狭めず幅広く経験を積む設計が向いています。
たとえば入社3年目の営業職の人を想像してみてください。「人と関わる仕事が好き」という漠然とした感覚しか持てず、5年後の姿が描けずに焦っています。
そこで、これまで担当した顧客対応のなかで手応えを感じた瞬間を書き出してみます。すると「課題を聞き出して提案する場面」に喜びがあると気づきます。
この気づきを起点に、その人はまずマーケティングの社内勉強会へ参加し、提案資料づくりの副担当に手を挙げました。20代のうちは正解を一つに絞り込むよりも、小さく試して反応を確かめる行動を重ねることが、後の専門性を選ぶ材料になります。
やりたいことが言語化できない段階でも、経験の棚卸しから問いを立て直すことで前に進めます。探索の数が多いほど、自分に合う方向が見えやすくなります。
30代のキャリアデザインの具体例
30代は業務を任される一方で、伸び悩みや行き詰まりを感じやすい年代でもあります(出典:BizReach withHR「キャリア形成」解説)。経験が蓄積されるぶん、自分の強みを言語化して進む方向を選び取る設計が重要になります。
具体例として、チームリーダーを任され始めた30代前半の人を考えてみましょう。プレイヤーとしては評価されてきたものの、マネジメントに適性を感じられず「このまま管理職を目指すべきか」と迷っています。
そこで自分のできること(Can)を洗い出してみます。すると「個人で深く分析する作業」に強みがあると再確認しました。
この人は上司との面談で、管理職一本ではなく専門職として分析領域を深める道があるかを相談し、半年間の社内公募プロジェクトに参加します。30代では理想の姿と現状のギャップを見つめ、専門性を磨くのか領域を広げるのかを自分の言葉で選ぶことが、納得感のあるキャリアデザインにつながります。
複数の選択肢を比べる場面では、Will Can Mustの3要素に当てはめて整理する方法が役立ちます。判断の軸が定まると、迷いが行動へと変わります。
40代以降のキャリアデザインの具体例
40代以降は仕事や生活に変化が生まれ、今後の生き方に迷いやすい年代とされています(出典:CAREER MAKER「50代から始めるキャリアデザイン」)。人生100年時代の今、40代は折り返しではなく第二の成長期と捉え、これからの30年を見据えて学び直す設計が現実的です。
たとえば管理職として実績を重ねた40代後半の人が、定年後も働き続ける前提で「あと20年、何を軸にするか」を考え始めたとします。これまで培ったマネジメント経験を棚卸しし、後進育成や組織づくりへの関心が強いと気づきました。
そこでこの人は、社外のキャリアコンサルタント資格の取得に向けて学び直しを始め、週末には副業として若手のメンタリングに取り組みます。リスキリング、つまり新しいスキルの習得は40代以降でも十分に効果があり、デジタルやソフトスキルを既存の経験と掛け合わせる発想が次の道を開きます(出典:PM Club「リスキリングで何を学ぶ」)。
蓄積した経験に新しい学びを足し算する姿勢が、40代以降のキャリアデザインを豊かにします。経験という資産があるからこそ、第二の成長を描けます。
ライフイベントを織り込む具体例
キャリアデザインは仕事の目標だけでなく、結婚や出産、育児、介護といったライフイベントを含めた人生全体で描くものです。私生活の大きな変化は働き方の前提を動かすため、あらかじめ時間軸に織り込んでおくことが安心につながります。
出産を控えた人であれば、産休や育休をいつからいつまで取得し、いつ職場復帰するのか、子どもの送り迎えを誰が担うのかまで具体的に描いておくと選択に迷いが減ります。介護も同様で、仕事をしながら介護を担うビジネスケアラーは2030年に約318万人へ増えると推計され、両立は誰にとっても他人事ではありません(出典:経済産業省「仕事と介護の両立支援に関するガイドライン」関連資料、2023年)。
ライフイベントを織り込む設計では、次のような視点を持っておくと描きやすくなります。
- 結婚や転居で働く場所や時間がどう変わるかを想定する
- 出産や育児に伴う休業と復帰の時期をおおまかに置いてみる
- 親の介護が始まった場合に頼れる制度や支援を調べておく
- 私生活の変化に合わせてキャリアの計画を柔軟に見直す
いつ起きるか分からないライフイベントを完璧に予測する必要はありません。起こりうる変化に幅を持たせて備えておくことで、想定外の出来事にも納得して向き合えるキャリアデザインになります。
まとめ:キャリアデザインは自分らしい生き方を描く設計
本記事では、キャリアデザインの意味や関連語との違いから、重視される背景、Will Can Mustの3要素、設計の5ステップ、考えるときのポイント、年代別の具体例までを解説しました。自分と向き合いながら手順を踏めば、生き方ごと描くキャリアデザインは形になります。
本記事のポイントをおさらいします。
本記事のポイント
- キャリアデザインは生き方全体を描く設計
- Will Can Mustの重なりが出発点になる
- 一度で完成させず柔軟に見直していく
自分らしいキャリアデザインを描けるようになると、変化の多い時代でも進む方向に迷いがなくなります。周囲の正解ではなく、自分の納得を基準に選べるようになるはずです。
キャリアデザインの進め方をさらに深めたい方は、お問い合わせや資料請求からお気軽にご相談ください。
キャリアデザインに関するよくある質問
参考文献
執筆者
編集部
ZisedaiMedia Coaching編集部は、海外キャリア・英語・キャリアを中心としたコーチングに関する情報を調査・取材。実体験や一次情報をもとに、公平で分かりやすい比較コンテンツを制作しています。
監修者
リサーチチーム
ZisedaiMedia Coachingリサーチチームは、キャリア支援・海外就職・コーチング市場に関する国内外の公的データや一次情報を調査・検証し、記事の正確性・中立性・最新性を確認しています。
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