リスキリング補助金とは・対象者ともらえる金額を一覧で解説
この記事のポイント
リスキリング補助金には教育訓練給付制度やキャリアアップ支援事業などがあり、教育訓練給付は受講費用の20〜80%、キャリアアップ支援事業は最大56万円が補助される。在職中か離職中か、雇用保険の加入状況で使える制度が変わり、個人向けと企業向けで申請ルートも異なる。
「リスキリングで学び直したいけれど受講費用が高くて、自分が使える補助金や給付金がどれなのか分からないし、そもそも何を学べば将来のキャリアにつながるのかも不安です」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
- リスキリング補助金の主な種類と制度の違い
- 在職中や離職中など立場別に使える個人向け制度
- 対象者の要件ともらえる金額の目安
リスキリングの補助金は、教育訓練給付やキャリアアップ支援事業など個人でも申請できる制度が複数あり、自分の状況に合った制度を選べば費用を大きく抑えて学び直せます。
制度の仕組みや申請の流れを知れば、学び直しを通じた転職やキャリアアップへの第一歩を踏み出せます。まずは自分が使える制度を見つけるところから読み進めてみてください。
リスキリングの補助金とは何か
リスキリングとは何かを知り、新しいスキルを学び直す費用の一部を国や自治体が負担してくれる仕組みの総称です。受講料の高さがネックで学び直しをためらう社会人にとって、費用の壁を下げる重要な支えになります。
ここでは国が支援に力を入れる背景と、混同されやすい補助金と助成金と給付金の違い、個人と企業それぞれが使える制度の違いを整理します。
リスキリングを国が支援する背景
国がリスキリングの費用を補助する背景には、産業構造の変化に対応できる人材を増やしたいという政策的なねらいがあります。DXリスキリングなどを通じて、デジタル化や脱炭素化で求められるスキルが急速に変わり、成長分野への労働移動を後押しする必要が高まっているためです。
政府は「リスキリングによる能力向上支援」「職務給の導入」「成長分野への円滑な労働移動」を柱とする三位一体の労働市場改革を掲げ、個人の学び直しへの直接支援を拡大しています(出典:内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局「三位一体の労働市場改革の指針」)。
支援の重心は企業経由から個人経由へと移りつつあります。在職者向けの学び直し支援は2022年度時点で企業経由が76.5%、個人経由が23.5%でしたが、今後5年を目途に過半数を個人経由にする方針が示されました(出典:内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局)。
会社の研修に頼らず、個人が主体的にリスキリングリカレントの制度を選び、申請できる時代に向かっています。
補助金と助成金と給付金の違い
リスキリングで使えるお金は補助金と助成金と給付金の3種類に大別され、管轄する省庁や審査の有無、もらえる金額の目安が異なります。名前は似ていても受け取りやすさや対象が違うため、自分がどれを使えるのか見極めることが第一歩です。
3つの制度の主な違いを整理すると次のとおりです。
| 区分 | 主な管轄 | 主な対象 | 受給のハードル | 金額の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 補助金 | 経済産業省・中小企業庁など | 主に事業者 | 公募制で審査があり予算上限で打ち切り | 数十万円から大型は数億円規模まで |
| 助成金 | 厚生労働省 | 主に事業主 | 要件を満たせば原則受給しやすい | 数十万円から数百万円が中心 |
| 給付金 | 厚生労働省・自治体など | 主に個人 | 要件を満たした個人が直接申請 | 制度ごとに数万円から数十万円規模 |
補助金は経済産業省や中小企業庁が扱うものが多く、公募期間内に申請して審査を通過する必要があります(出典:弥生株式会社 資金調達ナビ)。助成金は主に厚生労働省が所管し、雇用や人材育成に関する要件を満たせば原則として受給しやすいのが特徴です。
給付金は教育訓練給付のように個人が直接受け取る形で、英語リスキリングなどを個人で進める人にとって最も身近な選択肢になります。なお制度名に「補助金」と付いていても個人が使えるものがあり、名称だけで判断しないことが大切です。
個人と企業で使える制度の違い
リスキリングの制度は、個人が直接申請するものと企業が従業員の訓練のために申請するものに分かれます。在職中の会社員や離職中の人が自分で申請できる制度がある一方、企業向けは事業主が手続きする仕組みで、申請者と受け取る主体が異なります。
個人向けと企業向けの代表的な制度を比べると次のように整理できます。
| 利用主体 | 申請する人 | 代表的な制度 | 主な目的 |
|---|---|---|---|
| 個人向け | 学ぶ本人 | 教育訓練給付制度、リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業、求職者支援制度 | 個人の学び直しと転職やキャリアアップ |
| 企業向け | 事業主 | 人材開発支援助成金 | 従業員への訓練と人材育成 |
個人向けの制度は、リスキリング本で紹介されているような講座から自分の意思で選び、勤務先の制度に左右されずに申請できる点が利点です。教育訓練給付制度やリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業は、在職中の会社員でも個人で申請できます(出典:経済産業省 リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業)。
企業向けの人材開発支援助成金は、会社が従業員に訓練を受けさせた場合に事業主へ支給される制度です(出典:厚生労働省 人材開発支援助成金)。リスキリング補助金を個人事業主やフリーランスが使う場合も、企業向け助成金ではなく個人向けの給付金や支援事業が中心になります。
自分が学ぶ立場なのか、人を育てる立場なのかで、選ぶべき制度がはっきり分かれます。
リスキリング補助金の主な種類
リスキリングの補助金として個人が使える制度は、大きく国の給付金・補助金と自治体の独自支援に分かれます。代表的なものは教育訓練給付制度、リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業、人材開発支援助成金、求職者支援制度の4つで、これに各自治体の支援が加わります。
まず全体像を表で整理します。
| 制度名 | 所管 | 主な対象 | 受け取れる目安 |
|---|---|---|---|
| 教育訓練給付制度 | 厚生労働省 | 雇用保険の加入者・離職後一定期間内の人 | 受講費用の20〜最大80% |
| キャリアアップ支援事業 | 経済産業省 | 在職中で転職を目指す人 | 最大56万円 |
| 人材開発支援助成金 | 厚生労働省 | 従業員を育成する企業 | 訓練経費の一部 |
| 求職者支援制度 | 厚生労働省 | 雇用保険を受給できない求職者 | 無料訓練+月10万円 |
| 自治体の支援 | 各自治体 | その地域の住民・在勤者 | 制度ごとに異なる |
リスキリング副業を目指す場合など、それぞれの目的や対象者によって選ぶべき制度が異なるため、自分の状況に合うものを検討しましょう。
教育訓練給付制度
教育訓練給付制度は、厚生労働大臣が指定した講座を受講し修了すると、費用の一部が支給される個人向けの給付金で、プログラミングリスキリングなどを目指す際にも活用されます。リスキリング補助金一覧の中でも最も基本となる制度で、給付の手厚さが異なる3区分に分かれます。
主な対象は雇用保険の加入者、または離職後一定期間内の人です。
| 区分 | 給付率の目安 | 上限額の目安 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練給付金 | 受講費用の20% | 10万円 |
| 特定一般教育訓練給付金 | 受講費用の最大50% | 25万円 |
| 専門実践教育訓練給付金 | 受講費用の最大80% | 年間64万円(3年で最大192万円) |
専門実践教育訓練は、受講中から修了後にかけて費用の50%が支給され、修了後1年以内に資格を取得して就職すると20%、さらに2024年10月以降の受講で訓練前後に賃金が一定以上上がると10%が上乗せされる仕組みです(出典:厚生労働省)。給付率や上限は改正が続く分野のため、最新の数値は厚労省の公式情報で確認してください。
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業は、経済産業省が在職者の学び直しと転職を後押しする補助制度であり、マーケティングリスキリングなどを通じてキャリアを変えたい人に適しています。リスキリング補助金を経済産業省が担う代表例で、キャリア相談から講座受講、転職支援までを一貫して無料または補助付きで受けられます。
対象になるのは在職中で将来的な転職を目指す人です。
補助の流れは段階的で、次のように受け取ります。
- 講座を修了すると受講費用の2分の1(上限40万円)が補助されます
- 転職して1年間継続して就業すると、さらに5分の1(上限16万円)が追加で支給されます
- 合計で受講費用の最大70%、最大56万円の補助となります
補助は補助事業者と呼ばれる講座提供企業を経由して受け取る方式です(出典:経済産業省 リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業)。事業期間は当初2026年3月末まででしたが2年延長され、受講は2027年3月末まで、転職後のフォローアップは2028年3月末までとなっています。期限は見直される可能性があるため、申し込み前に公式サイトで最新の期間を必ず確認してください。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、従業員に訓練を行う企業を対象とした厚生労働省の助成金です。個人が直接受け取る制度ではありませんが、勤務先が活用すれば実質的に費用負担なく学べる場合があります。
在職中の会社員にとっては、会社経由で利用できる選択肢として知っておく価値があります。
主なコースは次のとおりです。
- 人材育成支援コース
- 教育訓練休暇等付与コース
- 人への投資促進コース
- 事業展開等リスキリング支援コース
事業展開等リスキリング支援コースは、新しい分野への展開やデジタル化に伴う訓練を支援する枠で、訓練経費の最大75%が助成される場合があります(出典:厚生労働省)。助成率や上限は賃上げや訓練時間などの要件で変わり、年度ごとに改正されるため、最新版は厚労省のパンフレットで確認してください。
訓練経費が全額無料になるわけではない点にも注意が必要です。
求職者支援制度
求職者支援制度は、雇用保険の失業給付を受けられない求職者が、無料の職業訓練を受けながら生活支援を受けられる制度です。ハロートレーニングとも呼ばれ、離職中の人や雇用保険に加入していなかった人にとって重要な受け皿になります。
一定の要件を満たすと、訓練を受けながら月10万円の給付金を受け取れます。
月10万円の職業訓練受講給付金には、主に次の収入や資産の要件があります(出典:厚生労働省)。
- 本人の収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月30万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 原則として訓練の全日程に出席している
テキスト代などは自己負担ですが、訓練そのものは無料で受けられます。給付額や収入要件は見直されることがあるため、利用前にハローワークで最新の条件を確かめると安心です。
自治体が独自に行う支援
国の制度に加えて、都道府県や市区町村が独自のリスキリング支援を設けている場合があります。リスキリング補助金は東京都をはじめ各自治体でも用意されており、地域の住民や在勤者であれば国の制度と別に活用できることがあります。
住んでいる地域や働いている地域の制度を調べる価値は十分にあります。
代表的な例として、東京都のDXリスキリング助成金や短期集中型の資格取得支援訓練、大阪府のスキルアップ支援、広島県の支援資金などが挙げられます。自治体の制度は対象分野や金額が地域ごとに異なり、年度単位で内容が変わることも珍しくありません。
最新の募集状況や対象講座は各自治体の公式サイトで確認することをおすすめします。
個人向けのリスキリング補助金と給付金
個人が使えるリスキリングの補助金や給付金は、働き方や状況によって対象になる制度が変わります。在職中の会社員、離職中や求職中の人、個人事業主やフリーランス、ひとり親家庭では、申請できる制度も受け取れる金額も異なる点が特徴。
まず自分がどの立場に当てはまるかを整理することが第一歩で、ここでは状況別に使える主な制度を表で示しながら要件と注意点を確認します。
| 状況 | 主に使える制度 | 受け取れる金額の目安 |
|---|---|---|
| 在職中の会社員 | 教育訓練給付制度/キャリアアップ支援事業 | 受講費用の20〜80%(制度により上限あり) |
| 離職中や求職中 | 教育訓練給付制度/求職者支援制度 | 受講費用の一部+月10万円の給付(要件あり) |
| 個人事業主やフリーランス | 自治体の支援/マナビDX 等 | 制度ごとに異なる |
| 母子家庭や父子家庭 | 自立支援教育訓練給付金 等 | 受講費用の60%(上限あり) |
在職中の会社員が使える制度
在職中の会社員は、雇用保険に加入しているため使える制度が比較的多い立場です。代表的なものが教育訓練給付制度で、雇用保険の加入期間が一定以上あれば、働きながら講座を受けて費用の一部を国から受け取れます。
区分は3つあり、最も手厚い専門実践教育訓練では、受講費用の最大80%、年間上限64万円が給付される仕組み(出典:厚生労働省 教育訓練給付制度)。
給付率や上限は2024年以降の改正で段階的に変わっているため、申請前に厚生労働省の公式情報で最新の数値を確認してください。専門実践教育訓練の給付率は基本50%で、資格取得と就職で70%、賃金が5%以上上がるとさらに80%まで上がる仕組みとされ、要件によって変動します。
もう1つが経済産業省のリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業。在職者が対象で、講座受講料の補助に加えて転職して継続就業すると追加の補助を受けられ、合計で最大56万円が補助されます(出典:経済産業省 リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業)。
将来的な転職を目指すことが前提となる点が、教育訓練給付との大きな違いです。
離職中や求職中の人が使える制度
離職中や求職中の人は、雇用保険の受給状況によって使える制度が分かれます。失業給付を受けている人は引き続き教育訓練給付制度を利用できますが、雇用保険の失業給付を受けられない人には求職者支援制度という別の選択肢があります。
どちらに当てはまるかで、申請できるリスキリング補助金や給付金の中身が変わる点に注意。
求職者支援制度は、ハローワークの支援指示を受けて原則無料の職業訓練を受けながら、一定の要件を満たすと月10万円の職業訓練受講給付金を受け取れる制度です(出典:厚生労働省)。テキスト代などは自己負担となるため、受講費用が完全にゼロになるわけではありません。
主な支給要件は次のとおりで、収入や資産の基準を満たす必要があります。
- 本人収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月30万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 訓練の全日程への出席(やむを得ない欠席は一定割合まで可)
要件や金額は改正で変わる場合があるため、申請時にハローワークで最新の条件を確かめると安心です。
個人事業主やフリーランスが使える制度
個人事業主やフリーランスは、雇用保険に加入していないことが多く、会社員向けの制度をそのまま使えない点に注意が必要です。教育訓練給付制度は雇用保険の加入が前提のため、加入歴がなければ対象外となります。
経済産業省のキャリアアップ支援事業も在職者を対象とし、経営者や個人事業主、フリーランスは対象外とされています(出典:経済産業省 リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業)。
そのため個人事業主やフリーランスがリスキリング補助金を探す場合は、雇用保険を前提としない別ルートが中心になります。具体的には自治体が独自に行うDX人材育成や資格取得の支援、経済産業省のマナビDXのように無料や低コストで学べる講座情報サイトの活用が現実的な選択肢です。
自治体の支援は年度ごとに内容や募集期間が変わるため、お住まいの都道府県や市区町村の最新情報を確認してください。過去に雇用されていた期間がある場合は、雇用保険の加入歴によって教育訓練給付を使える可能性もあるため、ハローワークで自分の受給資格を一度確かめると判断しやすくなります。
母子家庭や父子家庭への支援
母子家庭や父子家庭には、ひとり親の学び直しと就職を後押しする専用の給付金が用意されています。代表的なのが自立支援教育訓練給付金で、対象の講座を受講して修了すると経費の60%が支給される制度です(出典:こども家庭庁)。
支給額は一般教育訓練の対象講座で最大20万円、専門実践教育訓練の対象講座では修学年数に応じて最大160万円。
看護師や保育士など資格取得を目指す場合は、高等職業訓練促進給付金も選択肢になります。専門実践教育訓練の対象講座を受講して修了後に資格を取り就職すると、経費の85%が支給される仕組みです(出典:こども家庭庁)。
これらの制度は自治体の窓口を通じて申請します。支給額や対象講座は市区町村によって運用が異なる場合があるため、お住まいの自治体やこども家庭庁の情報で対象条件を確認したうえで、自分のキャリアの方向性に合った講座を選ぶことが大切です。
リスキリング補助金の対象者と要件
リスキリングの補助金を使えるかどうかは、雇用保険の加入状況や受講する講座が指定対象かどうかで決まります。制度ごとに対象者の条件が違うため、自分が要件を満たすかを申請前に確認することが重要です。
個人がつまずきやすい雇用保険の加入条件、対象講座の探し方、転職を前提とする制度の注意点を整理します。
雇用保険の加入に関する条件
リスキリング補助金の代表格である教育訓練給付制度では、雇用保険の被保険者期間が受給資格の中心になります。初めて利用する場合は加入期間が短くても対象になりやすく、過去に使った人には別の条件が加わる仕組みです。
教育訓練給付を初めて受ける人の支給要件期間は、原則として雇用保険に通算1年以上加入していることが目安とされています(出典:厚生労働省 教育訓練給付制度)。専門実践教育訓練については初回でも通算2年以上が必要とされ、訓練の区分で条件が変わる点に注意が必要です。
会社を辞めた人にも道があります。離職している場合は離職日の翌日から受講開始日までが1年以内であり、支給要件期間を満たしていれば対象になり得ます(出典:厚生労働省)。
雇用保険加入の有無は、リスキリング補助金の条件を見極める最初のチェックポイントになります。
| 区分 | 初めて利用する場合の目安 |
|---|---|
| 一般教育訓練給付 | 雇用保険に通算1年以上加入 |
| 特定一般教育訓練給付 | 雇用保険に通算1年以上加入 |
| 専門実践教育訓練給付 | 雇用保険に通算2年以上加入 |
| 離職中の人 | 離職翌日から受講開始まで1年以内かつ要件期間を満たす |
加入期間の数え方は転職や離職をはさむと複雑になります。前回の教育訓練給付を受けた後は、その受講開始日より前の期間が通算されないなどの例外もあるため、正確な被保険者期間は最寄りのハローワークで確認することをおすすめします。
対象となるリスキリング講座の探し方
補助の対象になるのは、国が指定した講座に限られます。自己判断で選んだ講座が対象外だと給付を受けられないため、公式の検索システムで指定講座かどうかを確かめる手順が欠かせません。
教育訓練給付の指定講座は3000件以上にのぼるとされ、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で分野や資格名、キーワードから探せます(出典:厚生労働省)。デジタル分野のリスキリング補助金対象講座を探したいときは、経済産業省所管のマナビDXや文部科学省のマナパスも併用すると、講座内容や条件を絞り込みやすくなります。
対象講座を探すときの基本的な流れは次のとおりです。
- 教育訓練講座検索システムで指定講座かどうかを確認する
- 一般・特定一般・専門実践のどの区分に該当するかを見る
- デジタル系ならマナビDXやマナパスでも内容を比較する
- 受講前にハローワークや講座提供事業者へ手続きの要否を問い合わせる
講座選びでは資格名やスキルだけでなく、学んだ先のキャリアにつながるかという視点が大切です。リスキリング補助金一覧を眺めて講座を決める前に、自分が市場価値を高めたい方向と講座の中身が一致しているかを照らし合わせると、学び直しの効果が高まります。
転職を前提とする制度の注意点
リスキリング補助金の中には、転職を強く想定した制度があります。代表例が経済産業省のリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業で、給付の一部が転職と継続就業に結びついている点を理解しておく必要があります。
この事業では講座を修了すると受講料の50%(上限40万円)が補助され、受講後に転職して1年間就業を継続すると追加で20%(上限16万円)が給付され、合計で最大56万円を受け取れる仕組みです(出典:経済産業省 リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業)。在職者で雇用主の変更を伴う転職を目指す人が対象とされ、正社員に限らず契約・派遣・パートなど幅広い働き方の人が利用できるとされています。
転職を前提とする制度を使う際は、次の点に注意してください。
- 追加分の給付には転職と一定期間の継続就業が条件になる
- 補助は講座提供事業者を経由して受け取る形が中心になる
- 在職者向けの制度であり、申し込み時に転職の意思が前提とされる場合がある
- 事業期間や上限額は改正される可能性があるため公式サイトでの確認が必要
専門実践教育訓練給付のように、受講前にハローワークで訓練前キャリアコンサルティングを受け、原則として訓練開始日の1ヶ月前までにジョブカードの交付を受ける必要がある制度もあります(出典:厚生労働省)。転職を見据えるからこそ、補助金を申請する前にキャリアの方向性を固めておくことが、制度を活かす近道になります。
リスキリング補助金でもらえる金額と補助率
リスキリング補助金でもらえる金額は、利用する制度と立場によって大きく変わります。個人が直接受け取る給付金は受講費用の20%から最大80%相当、企業が受け取る助成金は経費の最大75%が目安です。
ここでは2026年6月時点で公表されている制度ごとの給付率と上限額を整理します。給付率や上限は2024年から2025年にかけて改正が続いた領域で、今後も見直される可能性があるため、申請前に厚生労働省と経済産業省の公式情報で最新の数値を必ず確認してください。
教育訓練給付の給付率と上限額
教育訓練給付制度は、対象講座を修了すると受講費用の一部が支給される個人向けの給付金です。給付率は3つの区分で異なり、専門性が高い講座ほど高い給付率と上限額が設定されています。
2024年10月の雇用保険法改正で、特定一般と専門実践の給付率に上乗せが加わりました(出典:厚生労働省 教育訓練給付制度、令和6年10月1日施行の改正)。
区分ごとの給付率と上限額の目安は次のとおりです。数値は2026年6月時点の公表内容で、最新は厚生労働省の公式ページで要確認となります。
| 区分 | 給付率 | 上限額の目安 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練給付金 | 受講費用の20% | 10万円 |
| 特定一般教育訓練給付金 | 40%(資格取得し就職等で+10%) | 最大25万円 |
| 専門実践教育訓練給付金 | 50%(一定要件で最大80%相当) | 年間上限あり、最大で64万円程度 |
専門実践教育訓練は、基本給付に加えて資格取得後の就職や賃金上昇などの要件を満たすと給付率が段階的に上がる仕組みです。最大80%相当という水準は複数の追加要件を満たした場合の数値で、誰もが受け取れる額ではありません。
自分が受講予定の講座と区分でいくらもらえるのかは、ハローワークで支給見込みを確認するのが確実です。
キャリアアップ支援事業で受け取れる最大額
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業は、在職中の社会人が学び直しと転職に取り組むことを支援する経済産業省の事業です。受講費用の50%相当(最大40万円)が講座修了で補助され、その後に転職して継続就業すると追加の補助が受けられます(出典:経済産業省 リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業 公式サイト)。
合計でもらえる最大額は受講費用の70%相当で、上限は56万円です。受け取り方の段階を整理すると次のようになります。
- 講座を修了した時点:受講費用の50%相当、最大40万円
- 転職して一定期間継続就業した時点:追加分が上乗せされ、合計で最大56万円
- 補助は受講する個人ではなく、講座を提供する補助事業者を経由して受け取る2段階方式
この事業の対象は企業と雇用関係を結ぶ在職者で、個人事業主やフリーランス、無職の人は対象外となる点に注意が必要です。事業期間は2年延長され、受講は2027年3月末まで、転職後のフォローアップは2028年3月末までとなっています。期間は見直される可能性があるため、申請前に公式サイトで最新の募集状況を確認してください。
企業向け助成金の補助率
企業向けの助成金は、従業員のリスキリングにかかる訓練経費の一部を事業主に助成する制度です。代表的なものが人材開発支援助成金で、なかでも事業展開等リスキリング支援コースは新規事業の立ち上げやDX推進に伴う訓練を支援します(出典:厚生労働省 人材開発支援助成金)。
補助率は企業規模や賃上げ要件、訓練時間などで変わります。2026年3月の改正で対象範囲が拡充され、中小企業の経費助成率は最大75%、1事業所あたりの年間上限は1億円が目安とされています(出典:厚生労働省 人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース、令和8年改正)。
個人向けの給付金と企業向けの助成金は、受け取る主体と補助率が次のように異なります。
| 比較項目 | 個人向け給付金 | 企業向け助成金 |
|---|---|---|
| 受け取る人 | 受講した個人 | 訓練を実施した事業主 |
| 代表的な制度 | 教育訓練給付、キャリアアップ支援事業 | 人材開発支援助成金 |
| 補助率の目安 | 20%〜最大80%相当 | 中小企業で最大75% |
企業向け助成金は訓練経費が全額無料になるわけではなく、賃金助成や訓練時間の要件を満たす必要があります。制度は年度ごとに内容が変わるため、自社で活用する際は最新の支給要領を厚生労働省の公式情報で確認することが欠かせません。
リスキリング補助金の申請の流れ
リスキリングの補助金は、制度ごとに窓口や手順が異なるものの、大きな流れには共通点があります。個人が使う教育訓練給付制度やキャリアアップ支援事業を例にすると、申請は次の4ステップで進みます。
- 申請する制度を選ぶ
- キャリア相談を受けて講座を決める
- 受講を開始して費用を支払う
- 修了後に支給を申請する
それぞれの段階でやることを順番に押さえておくと、申請でつまずきにくくなります。
申請する制度を選ぶ
最初の一歩は、自分の状況に合う制度を1つ選ぶことです。在職中か離職中か、雇用保険に入っているか、転職を予定しているかで使える制度が変わります。
在職中の会社員なら教育訓練給付制度や経済産業省のリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業、雇用保険を受け取れない求職者なら求職者支援制度が候補になります(出典:厚生労働省、経済産業省 careerup.reskilling.go.jp)。
制度ごとに窓口が違う点も、この段階で確認しておきたいところです。
| 制度 | 主な対象 | 申請窓口 |
|---|---|---|
| 教育訓練給付制度 | 雇用保険の加入者・離職後一定期間内の人 | ハローワーク |
| キャリアアップ支援事業 | 転職を目指す在職者など | 補助事業者(講座提供企業) |
| 求職者支援制度 | 雇用保険を受給できない求職者 | ハローワーク |
リスキリング補助金は個人向けと企業向けで申請ルートが分かれます。まずは自分が個人として申請できる制度を見極めることが、対象講座や申請方法を調べる出発点になります。
キャリア相談を受けて講座を決める
制度を選んだら、対象講座を探してキャリア相談を受けます。専門実践教育訓練給付金や特定一般教育訓練給付金を使う場合、原則として受講開始日の2週間前までに、訓練前キャリアコンサルティングを受けてジョブ・カードを作成する必要があるためです(出典:厚生労働省)。
講座選びでは、次の点を確認しておくと安心です。
- 厚生労働大臣の指定講座か(教育訓練給付金検索システムで検索できる)
- 受講開始日と申請の締め切りに間に合うか
- 自分のキャリアの方向性に沿った内容か
キャリアアップ支援事業では、補助事業者が提供するキャリア相談に2回以上参加することが補助の条件とされています(出典:経済産業省 careerup.reskilling.go.jp)。補助金を受けるために形だけ相談を済ませるのではなく、何を学べば市場価値が上がるかを整理する機会として活用する姿勢が、学び直しの効果を高めます。
受講を開始して費用を支払う
講座が決まったら、必要な事前手続きを終えてから受講を始めます。教育訓練給付金では、受講開始日の1か月前までにハローワークで受給資格確認の手続きを済ませることが原則です(出典:厚生労働省)。
受講費用は、いったん自分で支払うのが基本の仕組みです。給付金や補助金は受講中や修了後に支給されるため、受講開始時点では費用を全額立て替えると考えておく必要があります(出典:厚生労働省)。
リスキリング補助金は個人の負担を後から軽くする制度です。当面の受講料を用意できるかを事前に確かめておくことが大切になります。
専門実践教育訓練では、受講開始から6か月ごとに教育訓練経費の一部が段階的に支給される運用とされています(出典:厚生労働省)。支給のタイミングは制度ごとに異なるため、最新の取り扱いは申請先の窓口で確認しておくと確実です。
修了後に支給を申請する
最後のステップが、修了後の支給申請です。給付金や補助金は受講して終わりではなく、定められた期間内に必要書類を提出して初めて受け取れます。
教育訓練給付金の場合、修了後にハローワークへ受講修了を証明する書類などを提出して支給を申請します(出典:厚生労働省)。
キャリアアップ支援事業では、補助を受けるための申請フォームの入力と本人確認書類の提出が必要とされ、転職して継続就業すると追加の補助を受けられる仕組みが案内されています(出典:経済産業省 careerup.reskilling.go.jp)。申請期限を過ぎると支給を受けられない制度もあるため、修了時期と提出期限を早めに把握しておくことが欠かせません。
申請方法や必要書類は年度ごとに見直されることがあります。リスキリング補助金を個人で申請する際は、最新の手続きを厚生労働省や経済産業省の公式情報で確認したうえで進めると安心です。
リスキリング補助金を使うときの注意点
リスキリング補助金は学び直しの費用を大きく抑えられる制度ですが、使い方を誤ると想定より自己負担が増えたり、そもそも受給できなかったりします。全額無料という思い込み、申請期限の見落とし、制度の併用ルール、そして学ぶ前の方向性という4つの注意点を押さえておくと、補助金を活かしてキャリア形成につなげやすくなります。
受講費用が全額無料になるわけではない
リスキリング補助金の多くは受講費用の一部を補助する仕組みであり、原則として全額が無料になるわけではありません。補助率や上限額が制度ごとに決められているため、受講料が高い講座ほど自己負担が残りやすくなります。
たとえば教育訓練給付制度では、一般教育訓練給付金が受講費用の20%(上限10万円)、専門実践教育訓練給付金でも最大で7〜8割程度が補助の上限とされています(出典:厚生労働省 教育訓練給付制度、給付率は2024年10月の改正で段階的に変動しており最新は厚労省公式で要確認)。
残りは受講者が支払う前提です。企業向けの人材開発支援助成金についても、厚生労働省は「訓練経費は無料になりません」と明記しています。
無料に近い制度として求職者支援制度(ハロートレーニング)がありますが、こちらも受講料が無料というだけで、テキスト代などは自己負担になります。費用を見積もるときは次の点を確認しておくと安心です。
- 補助率と上限額(受講料の何割が、いくらまで戻るのか)
- 補助の対象となる費用の範囲(入学金・受講料・教材費のどこまでか)
- 補助金が支給されるタイミング(多くは受講後の後払い)
補助金は費用の一部を取り戻す制度という前提で、リスキリング補助金の対象講座を選ぶと予算のずれを防げます。
申請期限と事業終了時期を確認する
リスキリング補助金には申請の期限や事業そのものの終了時期が設定されており、タイミングを逃すと受給できません。受講を決めてから動くのでは間に合わない手続きもあるため、申し込み前の確認が欠かせません。
教育訓練給付制度では、受講開始日の原則2週間以上前にハローワークで手続きを済ませる必要があります(出典:厚生労働省)。受講を始めてから申請しても対象外になる点に注意してください。
経済産業省のリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業は、当初2026年3月末までだった期間が2年延長されました。受講期間は2027年3月31日まで、転職後のフォローアップ期間は2028年3月31日までとなっています(出典:経済産業省 careerup.reskilling.go.jp、最新の期間は公式で要確認)。
制度ごとに見るべき期限は次のように異なります。
| 制度 | 確認すべき期限 |
|---|---|
| 教育訓練給付制度 | 受講開始の原則2週間以上前にハローワークで手続き |
| キャリアアップ支援事業 | 受講は2027年3月末まで、フォローは2028年3月末まで |
| 人材開発支援助成金 | 年度ごとに予算と申請受付期間が変わる |
| 自治体の独自支援 | 年度単位で募集。予算上限に達すると早期終了 |
人材開発支援助成金や自治体の助成金は年度ごとに内容が変わり、予算の上限に達すると締め切り前でも受付が終了します。リスキリング補助金がいつまで使えるのかは、必ず各制度の公式情報で最新の状態を確かめておきましょう。
制度の併用ができるかを確かめる
複数のリスキリング補助金を組み合わせたいときは、併用の可否を事前に確認することが大切です。制度同士は自由に重ねられるわけではなく、同じ講座に対して二重に補助を受けることは原則認められていません。
教育訓練給付制度とキャリアアップ支援事業を例にすると、同一の講座で両方の補助を重複して受け取ることはできません。一方で、内容や時期の異なる別々の講座であれば、それぞれの要件を満たすことで両方の制度を活用できる場合があります(出典:各制度の運用案内、詳細条件は要確認)。
併用を考えるときの整理は次のとおりです。
- 同一講座での重複受給は不可
- 異なる講座であれば、それぞれの制度を利用できる場合がある
- 同時期に複数の補助対象講座を受講する形は認められないことが多い
訓練前のキャリアコンサルティング費用のように、一定額まで給付対象に加算できる仕組みもあります。リスキリング補助金を個人で申請する際は、どの制度とどの制度が組み合わせられるのかを公式窓口やハローワークで確かめてから講座を申し込むと、想定外の受給漏れを避けられます。
学ぶ前にキャリアの方向性を定める
リスキリング補助金を使ううえで最も見落とされやすいのが、何のために学ぶのかという方向性を先に固めておくことです。補助金が使えるからという理由だけで講座を選ぶと、学び終えてもキャリアにつながらず、時間と自己負担分の費用だけが残ってしまいます。
補助金は手段であって目的ではありません。将来どの仕事で市場価値を高めたいのか、今の延長線で伸ばすのか別の分野へ移るのかが定まらないまま学習を始めると、途中で目的を見失いやすくなります。
実際にキャリアアップ支援事業では、登録や初回面談の段階で将来的な転職への意思が求められており、制度自体が方向性の明確化を前提にしています。
学ぶ前に方向性を整理するには、次の順序で考えると進めやすくなります。
- 現状のスキルと、これまでの仕事で得た強みを書き出す
- 数年後にどんな働き方や収入を実現したいかを言葉にする
- その理想と現状の差を埋めるために必要なスキルを特定する
- そのスキルが学べる対象講座を、補助金の条件と照らして選ぶ
一人で方向性を描ききれないときは、キャリアコーチングのような第三者との対話を活用すると、自分では気づきにくい強みや選択肢が見えてきます。リスキリング補助金を申請する前にキャリアの軸を定めておくことで、学び直しが将来の収入や市場価値の向上に確実につながります。
まとめ:リスキリングの補助金は個人でも使える制度を選べば費用を抑えて学び直せる
リスキリングの補助金には、教育訓練給付制度やキャリアアップ支援事業、人材開発支援助成金など、個人と企業のそれぞれが使える制度があります。在職中か離職中か、雇用保険に加入しているかなど、自分の状況に合わせて選ぶことが大切です。
補助率や上限額、申請の流れも制度ごとに異なるため、受講前に対象講座や申請期限を確認しておくと安心です。受講費用が全額無料になるわけではない点や、制度の併用可否にも注意が必要になります。
本記事のポイントをおさらいします。
本記事のポイント
- 個人向けと企業向けで使える補助金の制度が異なる
- 在職中や離職中など立場に応じて選べる制度がある
- 申請前に対象講座と期限の確認が欠かせない
自分に合った制度を選べば、費用を抑えながら学び直しを進め、転職やキャリアアップという目標に近づけます。何を学ぶべきか迷ったときは、キャリアの方向性を整理してから講座を選ぶことで、補助金を活かした学びが成果につながります。
学ぶスキルの選び方やキャリアの道筋に迷う場合は、お問い合わせや無料診断からご相談ください。
リスキリング補助金に関するよくある質問
参考文献
執筆者
編集部
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監修者
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